Claudeでの銘柄分析戦略② 期待値を「出させる」ことの危うさ【2026年版】
前回、ClaudeとEDINET DB・HYPER SBI2を組み合わせた銘柄分析の始め方を紹介した。あれから運用を続けて見えてきたのは、便利さの裏にある「期待値を出させることの難しさ」だ。何をどこまで読み込ませるかで結果が変わってしまう、という実感ベースの話をまとめる。
1. 前回からの続き:期待値を「出させる」ことの難しさ
前回の記事では、EDINET DBで財務データを取得し、HYPER SBI2の株価CSVを組み合わせてClaudeに分析させる基本的な流れを紹介した。その後も分析を続けているが、「この銘柄の株価期待値を出してほしい」という一歩踏み込んだ使い方をするようになってから、新しい壁にぶつかっている。
結論から言うと、期待値そのものの精度以前に、「何を渡すかで結果が変わってしまう」という問題が大きい。同じ銘柄でも、渡す情報の範囲を変えるだけでAIが導き出す期待値がぶれる。これは便利さの裏返しでもあり、使い方を誤ると危険な部分でもある。
2. 情報反映の壁①:マクロ情報の鮮度がボラティリティを左右する
1年分の株価推移・直近の決算短信・決算説明資料を渡し、簡単なマクロ情報も調べさせた上でざっくりとした期待値を出してもらう、というのがこれまでのやり方だった。この方法自体は悪くないのだが、今のようにボラティリティの高い相場では、渡すマクロ情報の「鮮度」によって出てくる期待値がかなり変わる印象がある。
直近では、こうした金利データも合わせて読ませるようにしている。日本国債金利と米国10年債利回りは、グロース株の割引率や為替を通じて個別株の評価にも波及するため、更新頻度の高いデータを渡せているかどうかで期待値の出方が変わってくる感覚がある。
逆に言えば、地合いが落ち着いている時期であれば、マクロ情報の鮮度による誤差はそこまで大きくならない。今のボラティリティが高い相場だからこそ表面化した問題、という捉え方もできる。
3. 情報反映の壁②:銘柄固有の「クセ」情報をどこまで読ませるか
マクロ情報とは別に、個別銘柄ごとの「クセ」に相当する情報がある。これをどこまでAIに読み取らせるかで、期待値はさらに変わる。
これらは一つひとつを見ればさほど難しくないが、すべてを毎回ルーチンとして拾わせるのは正直かなり骨が折れる。空売り・信用残のデータを都度取得して渡す作業自体に時間がかかるし、開示姿勢のクセのような定性情報は数値化しにくく、AIに正確に伝えるのも難しい。
現状では、これらは「銘柄調査の一環として時々確認する」程度の位置づけにとどめている。期待値算出のたびに全部揃えようとすると、それだけで疲弊してしまう。
4. 情報を選ぶ時点で、すでに人間の意志が入っている
ここが今回いちばん実感した部分だ。銘柄全般に使える汎用的なマクロ情報に加えて、その銘柄固有の情報をどこまで・どれを選んでAIに渡すか——この選択の時点で、すでに自分の意志(というよりバイアス)が入り込んでしまう。
つまり「AIが客観的に期待値を出してくれる」というイメージは、半分は幻想だ。何を渡すか・渡さないかという入口の設計自体が、すでに人間の判断そのものになっている。
5. リアルタイム性の限界:直近2〜3日の情報は拾いきれない
もう一つ実感しているのが、当日や直近2〜3日程度の情報については、基本的に検索経由でも十分に拾いきれていないという点だ。前回の記事でも「中東情勢のような時事情報はAIが正確にリアルタイムで判断するのは難しい」と書いたが、これは中東情勢のような大きなニュースに限らず、直近の細かい値動きの材料についても同様だと感じている。
この部分は自分で最新情報を補って渡すしかなく、AIに丸投げできる範囲ではない。期待値を出す際は「直近2〜3日の材料は自分で把握した上で、その分を割り引いて見る」くらいの姿勢が必要になる。
6. 見落としていた落とし穴:長時間チャットでの計算ミス
これは期待値算出とは少し別の話だが、実際に痛い目を見たので記録しておく。一つのチャットで同じ銘柄の分析を継続していたところ、途中で数字を取り違えていたことがあった。
対策としては、重要な数値計算はその都度検算する、あるいは分析が長くなってきたら新しいチャットに区切って情報を渡し直す、といった運用が現実的だと感じている。「便利だから」とひたすら同じスレッドで会話を伸ばし続けるのは、精度の面ではむしろリスクになる。
7. 結論:継続監視は人間、単発の切り口としてAIを使う
ここまでの内容を踏まえると、今の自分の中での結論は前回よりもはっきりしてきた。
AIに向いていない使い方
一つの銘柄を継続的に監視し、日々の値動きに合わせて期待値を更新し続けるような使い方。情報の鮮度管理・計算精度の両面でリスクが大きい。
AIに向いている使い方
ある時点での銘柄調査の一環として、単発でマクロ情報や財務情報を網羅的に確認させる使い方。継続監視・最終判断は人間が担う前提で使う。
継続的に監視していくフェーズに入ったら、そこから先は人間が判断したほうがいい。AIは「その時点での材料を漏れなく並べる」役割に徹してもらい、時系列で更新し続ける判断は自分でやる、という役割分担がしっくりきている。
8. まとめ:AIの「辛口評価」は要注意サインになる
情報の反映範囲・鮮度・人間の意志の介在・リアルタイム性の限界・長時間チャットでの計算ミス——並べてみると課題ばかりのようにも見えるが、使い方を絞れば一定の価値はあると感じている。
期待値という「数字」を鵜呑みにするのではなく、その数字がどんな情報の上に成り立っているかを常に意識すること。これが、①で書いた「AIは道具、判断は自分」という結論に対する、もう一段具体的な補足になる。
本記事について
本記事はClaudeを使った銘柄分析の継続運用の中で得た実体験・所感をまとめたものです。情報収集の一部にはAIによるウェブ調査の結果を活用しています。内容の正確性には努めていますが、AIツールの仕様・性能は今後変更される可能性があります。

コメント