信用買いとは?仕組み・リスク・証券会社別コスト比較【2026年版】
「信用買い」は自己資金の約3倍まで株を買える仕組みです。うまく使えば資金効率が上がりますが、金利・手数料などのコストと追証リスクを正しく理解することが必須です。制度信用・一般信用の違い、配当落調整金の扱い、主要5社のコスト比較まで徹底解説します。
1. 信用買いとは何か?現物取引との違い
信用買いとは、証券会社にお金を借りて株式を購入する取引方法です。自己資金(委託保証金)の約3倍まで株を買うことができるため、少ない資金でも大きな取引が可能になります。
委託保証金率30%とは?─ 現物株100万円を保有している場合の具体例
「委託保証金率30%以上」とは、「建玉(たてぎょく:信用で保有している株の評価額)に対して、最低30%の保証金を口座に維持しなければならない」というルールです。重要なのは、委託保証金には現金だけでなく、すでに持っている現物株も代用として使える点です。
例えば、100万円の現物株をすでに保有している場合、その株を保証金代わりに使って信用買いをどの程度まで行えるか見てみましょう。
具体例:現物株100万円を保有している場合、どこまで信用買いできるか
また、信用買いでは建玉を保有している間、株主優待の権利は得られません。株主名簿に記録されるのは証券会社(貸し手)であるためです。信用取引で株主優待を狙うことは基本的にできないと覚えておきましょう。
現物取引が「持っているお金の範囲内で株を買う」のに対し、信用買いは「借りたお金も使って株を買う」取引です。利益が大きくなる反面、損失も拡大するリスクがあります。
2. 制度信用 vs 一般信用の違い
信用買いの場合、一般信用は金利が高い代わりに返済期限を気にせず保有できます。制度信用は金利が低いですが6ヶ月という期限があり、期限が迫ったら返済または乗り換えが必要です。
3. 信用買いにかかるコストの種類
信用取引では現物取引と異なる複数のコストが発生します。保有期間が長くなるほど積み重なるため、事前の把握が重要です。
金利の計算式と「持ち越し日数」のカウント方法
買方金利は日割りで計算されます。「建玉金額 × 金利 ÷ 365 × 保有日数」が基本式です。ここで重要なのが「持ち越し日数」のカウントです。建玉を翌営業日以降に持ち越した日数分だけ金利が発生します。
📅 持ち越し日数の数え方:曜日別の具体例(金利2.80%・建玉100万円の場合)
信用取引の金利は土日・祝日も含めたカレンダー日数分が発生します。金曜日に持ち越すと「1泊分の金利」ではなく土日を挟んだ「3日分」がかかります。さらに年末年始・GW・シルバーウィーク等の大型連休前に持ち越す場合、連休日数分の金利(5〜9日分)がまとめて発生します。短期売買の場合は連休前に一度決済することも有効な選択肢です。
比較:金利水準による30日保有コストの差(建玉100万円)
金利が低い証券会社を選ぶだけで、長期保有時のコストが大幅に変わります。後述の比較表で各社の差を確認してください。
含み損銘柄は「建て直し」で金利を節約できる場合がある
信用買いの金利は新規建て時の約定金額(建玉金額)に対してかかります。株価が下がっても、金利は当初の建玉金額をベースに計算され続けるわけではなく、日々の建玉評価額に対して計算されますが、一度損切り・再建て(建て直し)すると、その時点の株価(低い金額)が新しい建玉金額になるため、以後の金利負担が減ります。
例:100万円で建てた銘柄が80万円に下落した場合(金利2.80%)
・建て直し(損切り→再建て)により、その後の金利計算の基準が下がった株価に更新されます
・ただし損切り時の売買手数料(証券会社によっては発生)と、損失の確定がともなうため、金利節約額と比べて得かどうか試算が必要です
・また、建て直しには現金余力が必要です。一度売って再び買うため、一時的に現金を使います(差金決済ルールにより同日の同銘柄は注意が必要)
・含み損が大きい局面では保証金維持率が低下しているケースも多く、建て直しの前に余力を確認することが重要です
4. 配当落調整金とは?権利日をまたいだ場合の注意点
信用買いで建玉を保有したまま権利確定日(配当・優待の権利が確定する日)をまたいだ場合、株主名簿上の株主は証券会社になるため、投資家には直接配当が支払われません。その代わりに「配当落調整金」という形で清算が行われます。
→ 配当金は証券会社に支払われる
(配当額から所得税15.315%相当を差し引いた約84.7%の金額)
→ 特定口座では譲渡益とみなされ、さらに20.315%が課税される
実際の手取り額はいくら?─ 配当500円で比較
配当500円に対する手取り額の比較(特定口座・源泉徴収あり)
信用買いで権利をまたいだ場合、①まず所得税15.315%相当が差し引かれた形で配当落調整金が入金され、②さらにそれが「譲渡所得」として認識されるため20.315%の課税が発生します。結果として配当500円に対して手取りは約337円(約67%)にとどまります。現物保有なら約399円(約80%)受け取れるのと比べると、1株あたり約62円・約13%分が余計に失われる計算です。高配当株を複数単元保有していれば、この差はさらに拡大します。
配当落調整金が「譲渡所得」になる理由と影響
通常の配当金は「配当所得」であるため、確定申告で配当控除(総合課税選択時)を適用でき、税負担を減らすことが可能です。しかし配当落調整金は「譲渡所得」扱いのため、配当控除は一切使えません。また住民税の扱いも異なり、現物配当であれば配当所得として住民税申告不要制度(条件あり)を活用できますが、配当落調整金ではその選択肢もありません。
なお、信用買いの建玉が権利確定日をまたぐと「権利処理等手数料」も発生します。これは管理費として証券会社から徴収されるコストで、各社の手数料一覧で確認できます。
① 手取り額が現物より大幅に少ない(配当500円に対し約62円の損失)
② 配当控除など税制優遇が一切使えない
③ 金利コストが別途発生し続ける
④ 株主優待は対象外
高配当株への長期投資を目的とするなら、現物での保有が基本です。信用買いはあくまで短期の値幅取りや資金効率向上のための手段と割り切って使いましょう。
5. 主要6社の信用取引コスト比較
SBI証券・SBIネオトレード証券・楽天証券・松井証券・SMBC日興証券・野村證券の信用取引コストを比較します。各社の特徴を踏まえて選ぶことがポイントです。
売買手数料の比較
| 証券会社 | 信用取引手数料 (1約定ごと) |
1日定額制 | 条件・備考 |
|---|---|---|---|
| SBI証券 | 無料 | 無料 | ゼロ革命適用・電子交付設定が条件 |
| SBIネオトレード | 無料 | 無料(100万円以下) | 条件なしで無料。現物は定額プランあり(100万円以下無料) |
| 楽天証券 | 無料 | 無料 | ゼロコース選択・SOR注文利用が条件 |
| 松井証券 | なし | 50万円以下:無料 100万円以下:1,100円 200万円以下:2,200円 |
1日定額制のみ。25歳以下は全額無料 |
| SMBC日興証券 | 無料 | — | ダイレクトコース限定。現物は別途手数料あり |
| 野村證券 | 524円(一律) | なし | オンライン専用支店。定額制プランなし |
金利・貸株料の比較(2026年4月時点)
| 証券会社 | 制度信用 買方金利 |
一般信用 買方金利 |
制度信用 貸株料(売) |
一日信用 |
|---|---|---|---|---|
| SBI証券 | 2.80% | 2.80%(通常) ※大口優遇あり(月間約定5億円以上等) |
1.10% | ○(手数料・金利無料) |
| SBIネオトレード | 2.30% ※優遇最低1.79% |
2.75% | 1.10% | ×(非対応) ※一般信用売りも非対応 |
| 楽天証券 | 2.80% | 2.80% | 1.10% | ○(手数料・金利無料) |
| 松井証券 | 3.10% | 4.10% | 1.15% | ○(手数料・金利無料) |
| SMBC日興証券 | 2.97% | 3.47% | 1.15% | ×(非対応) |
| 野村證券 (オンライン専用) |
1.43%最安 | 1.43%最安 | 1.15% | ×(非対応) |
※ 表の数値は2026年4月時点の各社公式サイトをもとに作成。野村證券の買方金利は公式ページ掲載値(1.43%)、SMBC日興証券の金利は2025年12月15日付け公式お知らせ(制度2.97%・一般3.47%に改定)を反映しています。大口優遇・キャンペーン適用時は異なる場合があります。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。筆者はSBI証券・SBIネオトレード証券・松井証券・SMBC日興証券・野村證券の口座を保有しており、これらに関する記述は実体験も参考にしています。楽天証券については公式サイトおよびAIによる情報収集をもとに記載しています。
各社の特徴まとめ
(オンライン専用)買方金利1.43%は6社中最安。ただし手数料524円/回 + 定額制なし。長期保有向き
6. 信用買いのリスクと注意点
追証(追加保証金)のリスク
建玉の評価額が下落し、委託保証金維持率が一定水準(通常20〜25%)を下回ると「追証(追加保証金)」の請求が発生します。期日(翌営業日昼など)までに入金できなければ強制決済されます。
預り金不足にも注意
追証とは別に、日常の取引でも「預り金不足」が起きることがあります。信用取引では、新規建ての際に委託保証金として一定の現金または代用有価証券が必要です。また、建玉の評価損が拡大すると、口座の現金(預り金)が実質的にマイナスになる場合があります。
・信用建玉の評価損が大きくなり、口座の現金残高を超える損失が生じた場合
・配当落調整金・管理費・権利処理手数料などが口座から自動引落しされ、残高が不足した場合
・信用取引と現物取引を同時に行い、資金計算を誤った場合
預り金不足が発生すると、証券会社から入金要請が来るか、最悪の場合は建玉の一部が強制決済されます。信用口座では現金残高を常に余裕をもって維持することが大切です。
含み損の損出しをする際の現金余力に注意
信用取引で含み損を抱えた建玉を「損出し」(意図的に損失確定)する場合、そのタイミングで現金余力が不足していないか確認することが重要です。
・含み損が膨らんでいる状態では、口座の保証金維持率がすでに低下している可能性があります
・損出しで建玉を決済すると損失が確定し、口座の現金残高が減少します
・その後すぐ建て直す場合、新規建てのための委託保証金(最低30万円・建玉の30%以上)が必要です
・現金余力が下回った状態で損出しすると預り金不足や追証の引き金になることがあります
損出しを行う前に「決済後の口座残高」「再建てに必要な保証金額」「残存建玉の維持率」を試算してから実行することをお勧めします。
二階建てに注意
同じ銘柄を現物でも保有しながら信用でも買い建てることを「二階建て」と呼びます。株価が急落すると現物の評価損と信用の追証が同時に発生し、危機的な状況になりやすいため避けるべきとされています。
期日管理
制度信用の場合、新規建てから6ヶ月が返済期限です。ただし多くの証券会社では期日が近づくと通知が来ますが、自分でも確認する習慣をつけましょう。期日を過ぎると強制決済されます。
7. 信用売り(空売り)について
信用取引には「信用買い」だけでなく「信用売り(空売り)」もあります。株を借りて売り、その後安く買い戻して差益を狙う取引です。
・下落相場での利益獲得:株価が下がると予想されるときに空売りを仕掛ける
・クロス取引(つなぎ売り):現物株を保有しながら同銘柄を信用売りして株主優待を実質タダ取りする手法
・ヘッジ(リスク回避):現物保有銘柄の急落リスクを売りでヘッジする
本記事では詳細は割愛しますが、信用売り(クロス取引・空売り戦略)については別記事で詳しく解説予定です。
8. まとめ:どの証券会社・どの信用区分を選ぶべきか
証券会社を選ぶとき、手数料や金利の数字だけで決めるのはあまりお勧めしません。特に信用取引は取引ツールの使いやすさ・注文のスピード・画面の見やすさが実際の損益に影響することも多く、自分が使い慣れた証券会社で始めるほうが余計なミスが減ります。
もっと言えば、信用取引そのものを始めるタイミングについても慎重に考えてほしいと思います。少なくとも現物取引を半年以上、できれば3年程度経験して、自分の投資スタイルが安定的にプラスになることを確認してから導入するのがベターです。
「現物で負けていても信用で勝てる可能性はゼロではない」とも言えますが、信用取引を加えることで投資行動自体が変わり(より短期目線になるなど)、結果的に現物より成績が落ちるケースも少なくありません。信用でも負ける可能性のほうが高いと個人的には思っています。
資金効率を上げる前に、まず現物での勝ちパターンを固めることを強くお勧めします。
本記事について
本記事の情報収集にはAIによるウェブ調査の結果を活用しています。筆者はSBI証券・SBIネオトレード証券・松井証券・SMBC日興証券・野村證券の口座を保有しており、これらに関する記述は実体験も参考にしています。楽天証券については公式サイト・FAQおよびAIによる情報収集をもとに記載しています。内容の正確性には努めていますが、各社のサービス内容は随時変更されます。最新情報は必ず各証券会社の公式サイトでご確認ください。


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